賃 金
『あるむの詩』№26(1999.07)より
あるむは所員賃金の基本を歩合制にしています。運営要綱では、それを「仕事は技能に応じて分かち合い、 賃金は労働に応じて分配する。」(第7条)と記しています。「労働に応じた分配」などというと少し大仰さですが、 要するに歩合給という事です。具体的に書いて見ましょう。
20頁の冊子の印刷を頼まれたとすると、まず、版下作成です。1頁あたりA5で1600円の単価づけをし、 お客様から貰うその金額の半分(粗利益三割からすれば分配率が少し多すぎますが、 単価が低額なので、この率にしています。ちなみに印刷部門は30%です。)が、所員の労賃ということになります。
ワープロ入力を例にとると、一日三万字程度の入力が可能と言われています。A5=600字として、30頁分です。 一頁300円ですから一日の労賃は15,000円という事になります。
A君の場合、入所したての頃、一頁の入力に三日位かかっていました。ということは一日の労賃100円です。 (今は一日三頁近く入力できるようになっているようです。ですから一日900円。)
もちろん、あるむは極端かなとも思いますが、印刷業という性格(受注産業であり、 日、月、季節によって仕事量の増減が大きい)上、所員全体に、均等均質に仕事が分けられことは余りなく、 忙しい部門と、暇な部門と、或いはあるむ全体が暇になってしまう!という事は避けられません。 そこで考えられたのが最低保障という制度です。
これは時間給制度で、時間単価180円(去年は160円でしたので20円アップ!)で勤務時間をかけた金額を月最低保障賃金としています。 歩合給と比較して、多い方を賃金として受け取るのです。実際、所員の中で最低保障額より歩合給の多い人は、今年の四月では二人しかいませんでした。 様々な理由があります。ですから、一概には云えませんが、時給180円よりも労働生産性が低かった、という事です。
さて、あるむの場合、週三日とか四日とかの出勤者や、体調が悪く欠勤が多い所員もいます。
労働時間による差はともかく、同じ作業所に働いているのに、余り給料に高低が出てしまうことは「いかがなものか」という意見もあります。 しかし、完全時間給制にしてしまうと、労働の密度や熟練などが捨象されてしまい、社会(それを基準とすることが正しいわけでは、全くありません!) との対応関係を見失ってしまう、という意見もあります。とても難しい問題です。
皆さん、どうお考えですが。